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スピード&プライドとは?
佐島 "Phantom" 明夫
>インタビュー(2004年3月)
秘密基地 Lounge@白金
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スペシャル・インタビュー
喧騒から離れた青山の高級住宅街に、かつて大会社会長の邸宅であった建物をそのまま使用したレストラン(青山エリュシオンハウス)がひっそりと佇んでいる。2004年3月某日、スピード&プライド社からは徒歩30秒の距離にあるこのレストラン2Fにある会員制ラウンジで、インタビューは行われました。



「人にとって一番大事なのは志を持つことだと思う」

米国大学を卒業後、政治ブローカー秘書として裏世界を垣間見、その後はITブームの波に乗ったベンチャー企業で夢と敗北を味わうという波乱万丈の20代を過ごしてきた佐島氏は静かにそう切り出した。スピード&プライドを設立し、都心の一等地にオフィスを構えて2年・・・。徐々に頭角を現しつつある次世代キーマンは、2時間に渡って持論を熱く語った。




「今のメイン・ビジネスは人材紹介。こんなに面白い仕事はないね。なぜか?色んな年代、色んな業界、色んな職種の人の話を聞くことができる。クライアント企業の担当者にしたって、出てくる相手はそれ相応のポジションの人たち。面白くないわけがない。ただし、この仕事をサラリーマンがやったら恐ろしくつまらないと思う。それは始める前に感づいた。勤めていた会社が倒産したとき、いくつか人材紹介会社を回ったんだけどね、出てくる奴らがみんなしょぼかった。そりゃそうなんだ。いくら色んな人に会って話が聞けるとはいえ、サラリーマン的感覚でこの仕事をやってても何のスキルアップにもならないから。」


どういうことか?

「この仕事は基本的に属人的なものなんです。個々の人材コンサルタントが、個人として転職者に向き合う。だってそうでしょ?転職者は、個人として自分と向き合って自問自答しながら転職活動をしてる。自分と真剣に向き合う機会なんて、転職か結婚を考えるときぐらいじゃない?だから、そんな人たちの相手をする僕らコンサルタントも、彼らに対して個人として向き合わなくちゃならない。組織なんて関係ないんだ。ある大手の人材紹介会社の奴なんて『コンサルタントって一般企業でいえば営業マンと一緒』とか言ってたけど、それは違う。この仕事の本質を理解してないよね。そのレベルのコンサルタントは近い将来、インターネットに取って代わられておしまいだね。」


都内だけで6000社あるといわれる人材紹介会社。そんななか、スピード&プライド社は独自のポジションを築きつつある。それは、人材紹介ビジネスという枠を超え、日本人に新たな生き方を提案することで進化し続けている。

「うちは確かに人材紹介会社だけど、別に企業に人材を紹介してるだけじゃないんです。このビジネスでよく言われるのは、お金がもらえるのは紹介先企業からだけで転職者からはもらえないから、どうしても立場が企業寄りになるんじゃない?ということ。甘いね。確かに企業からしかお金はもらえないし、企業から『いい人を紹介してくれて・・・』と感謝されるけど、それはこの仕事の50%だけ。もしそこに紹介した転職者がハッピーじゃなければ意味がないんだ。だって、人はハッピーな状態で仕事をしないと本来自分が持ってる能力の半分も出せないからね。これは人間という地球上で最良の資源の無駄遣いに他ならない。」


だから・・・、と佐島氏は言う。

「うちでは転職者がハッピーになるように、ただ単に転職相談をしたり求人情報を提供したりするだけのことはしていないんです。彼らは真剣に自分自身と向き合っている。だから、もっともっと深く考えてもらうために、うちでホームパーティーを開いて普段会わないような色んな人との交流の機会を設けたり、うちで関ってる色んなプロジェクトに参画してもらえる機会を提供したりしてるんですよ。僕が転職者に提供できる価値というのは、人間力を高めるための機会だと思ってます。だから僕は人材プロデュースという言葉を使っている。登録に来た人の話をよく聞いて、この人はあの人に会わせたら面白いとか、あの情報をあげたら勝手に自分の頭で考えて動くだろうとかね。プロデュースしていくんです。」


スピード&プライドでは隔月でホームパーティーを開いているという。2月に行われたパーティーには、会社社長、ジャーナリスト、政治家、などと共に転職登録者も多数参加。参加者の国籍も日本、アメリカ、イギリス、イタリア、イスラエル、韓国など多岐に渡っている。そんな、巷に氾濫する人材紹介会社とは明確に一線を画した事業展開を行う佐島氏を突き動かしているものは何か?

「僕は元々外交官志望だった。戦争を始めるのは簡単だけど、止めるのはその数千倍も難しいから、戦争を止めるというか起こさないようにする仕事がしたいというのが漠然とした理由だったんだけどね。でもキャリア試験に落っこちちゃった(笑)。だから考えたね。あいつら(受かった人たち)の上に行くにはどうすればいいのかって。それで突き当たった答えが政治家だったんです。ちょうどタイミングよく政治ブローカーの秘書の仕事が見つかって、まあ似たようなもんだろうという軽い気持ちで入ったんだけど、これが何と言うか・・・。まず靴磨きから始まり、真冬でも毎朝洗車。なにしろボスは高級車ばかり8台も持ってた。朝起きたときの気分でその日に乗る車を決めるから、僕らは朝の挨拶をした後にジャージに着替えて洗車してたね。夜は毎晩六本木か銀座。朝の4時まで飲んでも、7時には起きて来るんだ。50歳超えてたけどね。僕らは挨拶してまた洗車・・・。」


昼間は?

「それがまた普通じゃない。確かに偉い人とかにも会うんだけど、ほとんどが強面の人たち・・・。あと詐欺師もたくさん見たね。これは勉強になった。世の中には色んな他人がいるなっていうのがわかったんですよ。これは人生で成功するには大事なことだと思う。自分の価値観では図れない人間が世の中に存在するということを知っているのと知らないのとでは雲泥の差が出ますよ。それに、ああいう世界で上に立ってる人っていうのは、やっぱりそれなりの人というかね。弱い人を相手に悪いことをやってるやつっていうのは軽蔑されてたし。性根が腐ってるからね。男の世界だったですよ。」


その後、ITベンチャーに移って・・・。

「そう。これはもう単純な理由で、こんな世界にいたらやばいなと思って早めに足を洗おうかと・・・。それに政治の世界にいなくても、もともとの目的だった戦争を起こさないようにするようなことはビジネスの世界でも出来るんじゃないかというか、そっちの方が早いだろうと考えたんですよ。それで、当時流行りつつあったインターネット関連のベンチャーに入ったんですけど、無茶苦茶働きましたね。朝から晩まで・・・。どんどん社員は増えるし、株式公開に向けたプロジェクトのメンバーになって、とにかくやることがたくさんあった。ベンチャー・キャピタルとか証券会社とか、肩書きのある人たちをたくさん見れたのもいい経験になりましたね。いわゆるマトモな人なんて数えるほど・・・。なるほど、ビジネスの世界も政治の世界と大差ないなという感じでしたよ。もっと言ってしまうと、悪い奴が悪い顔して悪いことするのはいいけど、普通っぽい顔していい加減なことやってる奴って言うものの性質の悪さを感じたっていうか・・・。」


結局、そのベンチャーはITバブルの崩壊と共に倒産への道をたどり、9.11テロの前日、民事再生法を申請する。

「僕は株式公開準備室とか経営企画室とかにいたから、半年ぐらい前からやばいなというのはわかっていた。だから実際、春頃に一度辞めると決めて社長と話したんだけどね。当然、社長も状況を一番よくわかっているから、何も言わずに『自分で決めろ』と。それで、考えましたよ。いま辞めたら、逃げ出すみたいですごくかっこ悪いなと・・・。それで残って最後までやったんですけど、倒産した次の日の夜、とりあえず両親には言っとこうと思って電話したら、ろくに話も聞かず『それよりテレビをつけろ』と言うんです。『俺の会社、倒産したんだけど・・・』『ああそう・・・、それよりテレビつけなさい』なんだと思って見たら、テロだったんですよ。むかし何回か行ったことのあるツインタワーが崩壊していく映像を見ながら思いましたね。俺は何て小さいことで悩んでんだって。」


吹っ切れた佐島氏は28歳でスピード&プライドを設立。自分を追い込むために、最初から都心の一等地にオフィスを構え、数度の危機を乗り越えながら現在に至っている。

「人とのつながりは大切ですね。僕がこれまで何とかやってこれているのも、人とのつながりを大切にしてきたから。相手が望まない場合はしょうがないけどね。来るものは拒まず、去るものは追わずですよ。この2年間を思い返すと、ぞっとしますよ。もしあのときあの人に会わなければ・・・。もしあのときあの人が助けてくれなかったら・・・。だから転職相談に来る人に対しても、ビジネスとしては向き合わない。個人として会って、話を聞くことが出来てるんだと思いますよ。あとはアクションを起こすことも大事。待ってても何も起きないからね。ゴア元・副大統領のチーフ・スピーチライターだって、メール一本書いただけで会ってくれましたよ。アクションを起こすと、人生楽しくなりますよ。」


世の中、あれこれ愚痴を言ったり、夢を語ったりするだけで、アクションを起こさない人が確かに多い。

「別に愚痴を言うのは構わないと思うんですよ。僕だってたまには言うから。大事なのはバランスですよ。愚痴言ったところで『そういうお前はどうなんだ?』と言われて返す言葉がないんじゃ悲しすぎる。だから、愚痴を言う以上にどんどんアクションを起こさないとね。あと、僕がよく言うのは『ハッタリをかませ!』ということ。巷には自信がない奴で溢れてるから、勝手に自分で自信を持ってハッタリをかましながら生きていけば、ほとんど負けることはないですよ。だけど勘違いしてる人もいるね。学歴詐称なんて、あれは間抜けすぎる。人間としてのスケールが小さいというかなんと言うか・・・。自分に自信がないことを公言しちゃったようなものだから。惨めだね。」



これから日本を背負っていく人材に求められるものは何だろうか?


「志ですよ、志。」


佐島氏は即座に言った。

「私の世代は高校生のときにバブルが崩壊したから、社会人になってからずっと右肩下がり。いい思いなんてしたことがない。だから逆に夢を持てると思う。周りの環境がどうのこうのではなく、自分の力でやっていくという意味でのね。そのためには、何になりたいとか何をしたいとかいう夢だけじゃなくて、何のためにこれをしたいという志が必要なんです。そしてその志をいかに持続させるか・・・。いつの時代でも不祥事はあるよね。政治の世界でもビジネスの世界でも。みんな最初は高い志を持って、それぞれの世界に入っていったと思うよ。でもいつの間にか、志が薄れていって、悪い何かに染まってしまう。それは周りの環境を責めることも出来るかもしれないけど、結局は自分の問題だからね。プライドを持った人間としての。」


閉塞感が漂う日本において、佐島氏は人材紹介を土台に、教育、医療、情報の3分野でビジネスの下地作りを進めているという。

「僕は自ら進んで新たな生き方をすることで、転職でも何でも迷っている人からの信頼を得ることが出来ると思っています。ハッピーに見えない人から、あれこれ言われたくないでしょ?新しい生き方といっても、実は自分でもそれが何なのかよくわかってないんだけどね。でも、あれこれ心配したってしょうがない。どうせいつか死ぬんだから、燃え尽きるまでやらないとね。失うものなんて命しかないし。でもとりあえずいまはお金が欲しいよ。だって、持ってないから・・・。社会貢献とか考える前に、ガツガツ生きたい。まだ30歳ですからね。20代ではとにかくあまり他人が経験しないようなことまで色々経験したから、30代ではお金を儲けたい。そして40代でそれを資本にして人生を賭けた勝負に出ますよ。そのために教育、医療、情報の3分野のビジネスに焦点を絞って頭をひねってる所です。この前、アメリカのラーソン国務次官補も言ってたでしょ。これから教育、医療、M&Aの3分野において規制緩和を求めるって。僕の周りでもいま、超巨大プロジェクトが動き始めていますよ。まだ何も明かせないけどね。」


インタビューが行われたエリュシオンハウスの「エリュシオン」とはギリシャ神話に描かれている「地上の楽園」を意味するという。規模の大きさが信用の尺度ではなく、顧客の満足と信頼が会社の信用を決める時代。佐島氏が創造する「地上の楽園」とはいかなるものか?その実現は佐島氏の志にかかっている。
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